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集中できない・うっかりミスが多い

集中できない・
うっかりミスが多い

集中できない・うっかりミスが多い仕事や勉強で集中力が続かない、大切な約束を忘れてしまう、簡単なミスを繰り返してしまう...このような経験はありませんか?「自分の努力不足」「性格の問題」と思い込んでいる方も多いのですが、実はこれらの症状の背景には、治療可能な疾患が隠れていることがあります。
この記事では、「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状について、考えられる原因や関連する疾患について解説します。

他にこのような症状は
ありませんか?

「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状に加えて、以下のようなお悩みはありませんか?これらは、原因を特定するための重要な手がかりとなります。

気分のこと

  • 気分が落ち込んで、何もする気になれない
  • これまで楽しめていた趣味に興味がなくなった
  • 理由もなくイライラしたり、不安になったりする
  • 気分が異常に高揚し、おしゃべりになったり、じっとしていられなかったりする時期がある

行動のこと

  • 落ち着きがなく、そわそわしてしまう
  • 思ったことを、考えずにすぐ口に出してしまう
  • 約束や締め切りを忘れてしまうことが多い
  • 部屋や机の上が片付けられない
  • 危険な運転や、衝動的な買い物をしてしまう

身体のこと

  • 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまう
  • 日中に強い眠気がある
  • 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • 常に身体がだるい、疲れがとれない
  • 動悸、息苦しさ、めまいを感じることがある
  • いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
  • 朝起きた時に頭痛や口の渇きがある

主な疾患(鑑別診断)

「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状は、以下のような疾患の一つの症状として現れることがあります。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)症状の特徴: ADHDの特性は、主に「不注意」「多動性」「衝動性」の3つです。これらの特性は、気分の落ち込みなどとは関係なく、生まれつきの脳機能によるものです。

  • 不注意: 「ケアレスミスが多い」「物をよくなくす」「約束を忘れる」「順序立てて物事を進めるのが苦手」といった形で現れます。
  • 多動性・衝動性: 「じっとしていられず、そわそわと手足を動かす」「貧乏ゆすりがやめられない」「思ったことを考えずにすぐ口に出してしまう」「順番を待つのが苦手」といった形で現れます。 これらの症状が子供の頃から継続してみられるのが大きな特徴で、本人に悪気はなく、「頑張ろうと思っても、なぜかできない」という困難を抱えています。

この疾患の「集中力低下・不注意」の特徴

ADHDにおける不注意は、気分の落ち込みなどとは関係なく、生まれつきの脳機能の特性によるものです。「ケアレスミスが多い」「物をよくなくす」「約束を忘れる」「順序立てて物事を進めるのが苦手」といった症状が、子供の頃から継続してみられるのが大きな特徴です。本人に悪気はなく、「頑張ろうと思っても、なぜかできない」という困難を抱えています。

治療法

薬物療法と心理社会的治療を組み合わせて行います。薬物療法では、脳内の神経伝達物質のバランスを整える薬を用い、不注意や多動性・衝動性を改善します。心理社会的治療としては、ご自身の特性を理解し、生活しやすくなる工夫(環境調整)や、考え方の癖を修正する認知行動療法などを行います。

ADHD

うつ病

症状の特徴: うつ病は、気分の落ち込み(抑うつ気分)や、これまで楽しめていたことに対して興味や喜びを感じられなくなる(興味・喜びの喪失)状態が長く続く疾患です。これらの精神的な症状に加え、不眠や食欲不振、疲労感といった身体的な症状も伴います。 うつ病による集中力低下は、「以前は問題なく集中できていたのに、できなくなった」という変化として現れるのが特徴です。これは、脳のエネルギーが枯渇し、思考のスピードが遅くなる「思考制止」という状態に陥るためです。その結果、「考えがまとまらない」「本を読んでも内容が頭に入らない」「決断できない」といった形で集中力の低下を自覚し、うっかりミスが増えてしまいます。

治療法

十分な休養を確保することが基本です。その上で、SSRIやSNRIといった抗うつ薬を中心とした薬物療法と、ものの受け止め方や考え方の癖を修正していく認知行動療法などの精神療法を組み合わせて治療を進めます。

うつ病

双極症(双極性障害、躁うつ病)

症状の特徴: 双極症は、エネルギーに満ち溢れ活動的になる「躁状態」と、気分が落ち込み無気力になる「うつ状態」という、両極端な状態を繰り返す疾患です。

  • 躁状態の時: 気分が異常に高揚し、「自分は何でもできる」といった万能感に満たされます。あまり眠らなくても平気になったり、普段よりおしゃべりになったり、次から次へとアイデアが浮かびます。しかし、一つのことに注意を向け続けることができなくなる「注意散漫」が顕著になり、結局、多くの計画は中途半端に終わります。また、高額な買い物や危険な運転など、後先を考えない行動に走り、社会的な信用を失うようなトラブルにつながることも少なくありません。
  • うつ状態の時: うつ病と同様に、強い抑うつ気分、興味の喪失、思考力の低下がみられます。このため、「考えがまとまらない」「決断できない」といった状態になり、集中力の低下やミスが目立つようになります。

治療法

治療の主軸となるのは、気分の波をコントロールするための気分安定薬です。うつ病と間違えて抗うつ薬だけを使用すると、躁状態を引き起こす(躁転)リスクがあるため、正確な診断が重要になります。

躁うつ病・
双極性障害

適応反応症(適応障害)

症状の特徴: 適応反応症は、特定のストレス(例:職場の異動、人間関係の問題など)が原因となって、心や身体に不調が現れる状態です。ストレス反応として、不安、焦り、抑うつ気分、怒りといった情緒面の症状や、動悸、頭痛、倦怠感といった身体面の症状、さらに遅刻や欠勤、他者との口論といった行動面の症状など、多彩なサインが現れます。 このように心身のエネルギーが消耗することで、結果として集中力が続かなくなったり、仕事で普段はしないようなミスが増えたりします。ストレスの原因がはっきりしており、その原因から離れると症状が和らぐ傾向があるのが大きな特徴です。

治療法

まずは、ストレスの原因となっている環境の調整が最も重要です。カウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処法(コーピング)を学ぶことも治療の選択肢となります。

適応障害

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群症状の特徴: 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれることで何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。特徴的な症状は、非常に大きないびきと、睡眠中に呼吸が止まっていることを家族などから指摘されることです。呼吸が止まるたびに脳が覚醒するため、深い睡眠がとれず、脳や身体が休まりません。その結果、十分な睡眠時間を確保しても、日中に耐えがたいほどの強い眠気や倦怠感に襲われます。この眠気が、会議中に居眠りをしてしまう、仕事の効率が著しく落ちるといった形で現れ、集中力低下やうっかりミスの直接的な原因となります。他にも、朝起きた時の頭痛や口の渇き、夜中に何度もトイレに起きるといった症状もみられます。

治療法

治療の基本は、睡眠中の気道を確保するCPAP(シーパップ)療法です。また、減量、飲酒を控えるなどの生活習慣の改善も重要です。適切な治療により、日中の眠気や集中力は劇的に改善することがあります。

よくある質問(Q&A)

「集中できない」という症状には、様々な原因が考えられます。疲労や睡眠不足といった日常的な要因から、ADHD、うつ病、双極症(双極性障害)、適応反応症(適応障害)、睡眠時無呼吸症候群など、治療が必要な疾患まで幅広い可能性があります。
「自分の努力が足りない」と考えてしまいがちですが、医療機関を受診することで原因が明らかになる可能性もあります。
最も大きな違いは「症状の始まった時期」と「経過」です。
ADHDの場合、不注意の症状は子供の頃から継続してみられます。「昔から忘れ物が多かった」「小学生の頃から宿題の提出が遅れがちだった」といった、長年続く困難があるのが特徴です。気分の落ち込みなどとは関係なく、継続的に症状がみられます。
一方、うつ病、双極症(双極性障害)のうつ状態、適応反応症(適応障害)では、「以前は問題なく集中できていたのに、できなくなった」という変化として現れます。これらはいずれも「うつ状態」であり、症状としては思考抑制や集中困難という形で同じように現れます。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の質の悪化と共に日中の集中力が低下します。
うつ状態では、思考のスピードが遅くなる「思考抑制」という状態に陥ります。
その結果、「考えがまとまらない」「本を読んでも内容が頭に入らない」「決断できない」といった形で集中力の低下を自覚します。これは、「頑張れば何とかなる」というレベルではなく、思考や認知の機能が低下している状態です。
また、うつ状態では不眠や食欲不振、疲労感といった身体症状も伴います。これらの症状が複合的に作用することで、さらに集中力が妨げられ、仕事や日常生活でのうっかりミスが増えてしまいます。
うつ状態は、うつ病、双極症(双極性障害)のうつエピソード、適応反応症(適応障害)など、様々な状況で生じます。
双極症(双極性障害)では、躁状態とうつ状態という両極端な気分の波によって、異なる形で集中力が低下します。
躁状態の時は、気分が異常に高揚し、次から次へとアイデアが浮かびます。一見すると活発で集中しているように見えますが、実際には一つのことに注意を向け続けることができない「注意散漫」が顕著になります。多くの計画を立てても、中途半端に終わってしまうのが特徴です。
うつ状態の時は、思考抑制により思考力が低下し、「考えがまとまらない」「決断できない」といった状態になります。この時期に集中力の低下やミスが目立つようになります。
このように気分の状態によって集中力の質が変わるのが、双極症(双極性障害)の特徴です。
適応反応症(適応障害)の最も大きな特徴は、「ストレスの原因がはっきりしている」ことと、「その原因から離れると症状が和らぐ傾向がある」ことです。
たとえば、職場の異動や人間関係の問題など、特定のストレスが原因となって、不安、焦り、抑うつ気分といった情緒面の症状や、動悸、頭痛、倦怠感といった身体面の症状が現れます。こうして心身のエネルギーが消耗することで、結果として集中力が続かなくなったり、普段はしないようなミスが増えたりします。
週末や休暇中には症状が軽減するといった、状況依存性が見られることも特徴的です。ただし、ストレスが長期化すると、症状が慢性化し治りにくくなることがあるため、早めの対処が重要です。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が塞がれることで何度も呼吸が止まったり、浅くなったりします。呼吸が止まるたびに脳が覚醒するため、深い睡眠がとれず、脳や身体が休まりません。
その結果、十分な睡眠時間を確保しても、日中に耐えがたいほどの強い眠気や倦怠感に襲われます。この眠気が、会議中に居眠りをしてしまう、仕事の効率が著しく落ちるといった形で現れ、集中力低下やうっかりミスの直接的な原因となります。
特徴的なのは、非常に大きないびきと、睡眠中に呼吸が止まっていることを家族などから指摘されることです。朝起きた時の頭痛や口の渇き、夜中に何度もトイレに起きるといった症状も見られます。
原因を見分ける上で重要なポイントは、以下の3つです。
  • 症状の始まった時期:子供の頃からなのか、最近になって急に始まったのか。ADHDは子供の頃から継続する特徴があります。
  • 気分の状態と経過:気分の落ち込みがないか、逆に異常に気分が高揚した時期がなかったか。うつ状態では気分の落ち込みと共に集中力が低下し、双極症(双極性障害)では気分の波に伴って集中力が変動します。
  • 睡眠の質:十分に眠っているはずなのに日中眠いか、大きないびきがあるか。睡眠時無呼吸症候群では睡眠の質の問題が根本にあります。
ただし、複数の疾患が重なっている場合もあります。気になる症状が続いている場合は、医療機関での相談をお勧めします。
「以前は問題なく集中できていたのに、できなくなった」という明確な変化がある場合、うつ病、双極症(双極性障害)のうつ状態、適応反応症(適応障害)、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。
気分の落ち込み、興味の喪失、不眠、食欲不振といった症状を伴う場合は、うつ状態の可能性があります。明確なストレスの原因がある場合は適応反応症(適応障害)、大きないびきや日中の強い眠気がある場合は睡眠時無呼吸症候群の可能性が高まります。
ADHDは子供の頃から続く特性なので、成人になって急に発症することは基本的にありません。ただし、これまで何とか対処できていた環境から、より高い集中力を要求される環境に変わったことで、もともとあったADHDの困難が顕在化するケースはあります。
子供の頃から継続している不注意の症状は、ADHDの可能性を示唆する重要な特徴です。
ADHDの不注意は、「ケアレスミスが多い」「物をよくなくす」「約束を忘れる」「順序立てて物事を進めるのが苦手」といった形で現れ、これらが学齢期から成人期まで続くのが特徴です。本人に悪気はなく、「頑張ろうと思っても、なぜかできない」という困難を抱えています。
ただし、診断にはさらに詳しい評価が必要です。他の精神疾患が併存していないか、症状が日常生活や仕事にどの程度支障をきたしているか、といった点も含めて総合的に判断します。また、子供の頃の記憶が曖昧な場合もあるため、可能であれば家族からの情報も参考にします。
気分が異常に高揚する時期と落ち込む時期を繰り返し、それに伴って集中力も変動する場合は、双極症(双極性障害)の可能性があります。
躁状態では、気分が高揚し「自分は何でもできる」といった万能感に満たされ、あまり眠らなくても平気になります。一見すると活動的ですが、実際には一つのことに集中できず、多くの計画が中途半端に終わります。うつ状態では、強い抑うつ気分と共に思考力が低下し、考えがまとまらなくなります。
双極症(双極性障害)は、うつ病と間違えられやすい疾患です。うつ状態だけを見て診断されると、適切な治療が受けられない可能性があります。過去に「いつもと違って元気すぎる時期」がなかったか振り返ってみることが重要です。
明確な環境の変化(職場の異動、上司の変更、業務内容の変化など)をきっかけに集中力が低下した場合、適応反応症(適応障害)の可能性があります。
適応反応症(適応障害)では、特定のストレスが原因となって、不安、焦り、イライラといった情緒面の症状や、動悸、頭痛、不眠といった身体症状が現れます。こうして心身のエネルギーが消耗することで、集中力が続かなくなり、仕事でのミスが増えます。
重要なのは、ストレスの原因を特定し、環境調整を行うことです。カウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処法を学ぶことも有効です。症状が続いている場合は、医療機関での相談をお勧めします。
非常に大きく関係している可能性があります。大きないびきと日中の強い眠気は、睡眠時無呼吸症候群の典型的な症状です。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に何度も呼吸が止まるため、深い睡眠がとれず、脳と身体が十分に休息できません。その結果、十分な時間寝ているはずなのに、日中に耐えがたいほどの眠気や倦怠感に襲われます。この眠気が集中力を著しく妨げ、仕事の効率低下やうっかりミスの直接的な原因となります。
睡眠時無呼吸症候群は、CPAP療法などの適切な治療により、日中の眠気や集中力が劇的に改善することがあります。いびきや日中の眠気が気になる場合は、睡眠専門の医療機関での検査をお勧めします。
集中力低下と気分の落ち込みが同時に存在する場合、うつ状態である可能性があります。
うつ状態では、抑うつ気分や興味・喜びの喪失といった精神症状に加えて、思考抑制により「考えがまとまらない」「決断できない」といった認知機能の低下が起こります。さらに、不眠、食欲不振、疲労感といった身体症状も伴うことが多く、これらが複合的に作用して集中力を妨げます。
このようなうつ状態は、うつ病、双極症(双極性障害)のうつエピソード、適応反応症(適応障害)などで生じます。過去に気分が異常に高揚した時期がなかったかを確認することが、鑑別上重要です。
「以前は問題なくできていたことができなくなった」という明確な変化があり、それが続いている場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
約束や締め切りを頻繁に忘れてしまうことは、複数の原因で見られる症状です。
ADHDでは、「約束を忘れる」ことが不注意症状の典型的な現れの一つです。子供の頃から「忘れ物が多い」「提出物を出し忘れる」といった困難が続いており、大人になっても重要な約束や締め切りを忘れてしまう場合、ADHDの可能性があります。
うつ状態では、思考抑制により記憶力や注意力が低下し、約束や予定を覚えておくことが困難になります。この場合、「以前は問題なく管理できていたのに、できなくなった」という変化として現れます。
また、睡眠時無呼吸症候群による日中の眠気や倦怠感なども、記憶力や注意力に影響を与え、約束を忘れる原因となります。知的な発達の課題が背景にある場合もあります。
頻繁に忘れてしまうことで生活や仕事に支障が出ている場合は、医療機関で原因を相談してみてもいいかもしれません。
「部屋や机の上が片付けられない」という症状は、集中力低下や不注意と関係していることがあります。
ADHDでは、「順序立てて物事を進めるのが苦手」という特性により、片付けが非常に困難になります。どこから手をつけていいか分からない、途中で別のことに気が散ってしまう、物の定位置を決められないといった困難があり、結果として部屋や机が散らかった状態になります。
うつ状態では、思考抑制により手順がわからなくなったり、心身のエネルギーが低下して片付けに取り組む気力が湧かなくなったりします。この場合、「以前は整理整頓できていたのに、できなくなった」という変化として現れることが多いです。
片付けられないこと自体が問題というよりも、その背景にある原因を明らかにすることが重要です。
「本を読んでも内容が頭に入らない」という症状は、複数の原因で見られますが、その背景にあるメカニズムは異なります。
うつ状態では、思考抑制により思考のスピードが遅くなり、情報を処理する能力が低下します。そのため、文字を追っていても意味が理解できない、読んだ内容をすぐ忘れてしまうといった状態になります。
ADHDでは、注意を維持することが困難なため、読んでいる途中で別のことに気が散ってしまったり、同じ行を何度も読み返したりすることがあります。子供の頃から読書に集中できなかった場合、ADHDの可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群では、日中の強い眠気により、読書中に眠くなってしまったり、集中が続かなくなったりします。
症状が始まった時期、他の症状の有無などから、原因を特定することが大切です。
仕事でのケアレスミスが増えた場合、その背景には治療可能な疾患が隠れている可能性があります。
「以前はミスが少なかったのに、最近増えた」という変化がある場合、うつ状態、睡眠時無呼吸症候群などが考えられます。気分の落ち込み、ストレス、睡眠の質の低下などが集中力を妨げ、ミスにつながっている可能性があります。
一方、「子供の頃からケアレスミスが多かった」という場合は、ADHDの可能性があります。学生時代は何とか対処できていたものの、社会人になって求められる注意力のレベルが上がったことで、困難が顕在化するケースは少なくありません。
ミスが続いて困っている場合は、医療機関で相談してみることで、原因が明らかになり、対処法が見つかる可能性があります。
「集中力が続かない」ことと「疲れやすい」ことは、密接に関連していることが多いです。
うつ状態では、思考や集中に多くのエネルギーを要するようになります。その結果、少し集中しただけで疲れ果ててしまい、常に身体がだるい、疲れがとれないといった状態になります。
睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の質が悪いため、十分な時間寝ているにもかかわらず疲労が回復せず、日中の倦怠感と集中力低下が同時に生じます。
適応反応症(適応障害)でも、ストレスによって心身のエネルギーが消耗し、疲れやすさと集中力の低下が現れます。
ADHDでは、集中を維持することに多大な努力を要するため、他の人よりも疲れやすくなることがあります。
疲労感と集中力低下が続く場合は、背景にある原因を明らかにすることが重要です。
仕事中の居眠りは、単なる集中力の問題ではなく、睡眠の質や量に問題がある可能性を示唆する重要なサインです。
睡眠時無呼吸症候群では、夜間の睡眠の質が極端に悪いため、日中に耐えがたいほどの眠気に襲われます。会議中や運転中など、本来眠ってはいけない場面でも居眠りをしてしまうのが特徴です。
また、うつ状態では不眠(寝つきが悪い、夜中に目が覚める、早朝に目が覚めてしまう)が生じることが多く、夜間に十分な睡眠がとれないために日中の眠気につながります。
単なる寝不足との違いは、十分な睡眠時間を確保しても眠気が改善しないこと、他の症状(いびき、気分の落ち込みなど)を伴うことです。日中の居眠りが頻繁にある場合は、医療機関への相談をお勧めします。
はい、複数の疾患が併存していることは珍しくありません。
たとえば、ADHDとうつ病や不安症が併存するケースは多く報告されています。ADHDの困難によって生活上の問題が積み重なり、その結果として二次的にうつ病や適応反応症(適応障害)を発症することがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群が未治療のまま長期間続くと、慢性的な疲労や睡眠不足からうつ病を発症するリスクが高まります。
双極症(双極性障害)とADHDも併存しやすい組み合わせです。両者とも注意散漫や衝動性が見られるため、鑑別診断が難しい場合があります。
このように複数の疾患が重なっている場合、正確な診断と適切な治療計画の立案には、医療機関での総合的な評価が不可欠です。一つの疾患だけを治療しても症状が十分に改善しないことがあるため、包括的なアプローチが重要となります。
「集中できない」という症状の原因を特定するには、問診が最も重要です。
医師は、症状がいつから始まったか、どのような時に悪化するか、気分の変動はあるか、睡眠の状態はどうか、子供の頃の様子はどうだったかなど、詳しくお話を伺います。また、必要に応じて心理検査や血液検査などを行うこともあります。
ADHDの診断では、子供の頃からの症状の継続性を確認するため、可能であれば家族からの情報も参考にします。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠専門の医療機関での検査をお勧めすることがあります。
診断には時間がかかることもありますが、正確な診断が適切な治療につながります。焦らず、医師と一緒に原因を明らかにしていくことが大切です。
以下のような状況であれば、医療機関への受診をお勧めします。
集中力低下が長期間続いている、日常生活や仕事に明らかな支障が出ている、自分でも「これは普通ではない」と感じるほどの症状がある、周囲から「最近変だ」と指摘される――こういった状況です。
特に、気分の落ち込み、興味の喪失、不眠、食欲不振といった症状を伴う場合、大きないびきや日中の強い眠気がある場合、衝動的な行動や気分の大きな波がある場合は、早めの受診が重要です。
また、仕事でのミスが増えて評価に影響が出ている、人間関係に支障が出ている、運転中に眠気を感じて危険を感じるといった場合も、受診のタイミングと考えてよいでしょう。
「こんなことで受診していいのか」と迷う必要はありません。生活に支障が出ているのであれば、それは専門家の助けが必要なサインです。
治療期間は、原因となっている疾患や症状の程度によって大きく異なります。
うつ病や適応反応症(適応障害)では、薬物療法や環境調整により、数週間から数ヶ月で症状の改善が見られることが多いです。ただし、再発予防のために、症状が改善した後も一定期間治療を継続することが推奨されます。
ADHDは生まれつきの発達特性であるため、症状が消失するということはありませんが、薬物療法や環境調整、認知行動療法などにより、症状をコントロールし、生活の質を大きく改善することができます。治療は長期にわたることが多いですが、適切な支援を受けることで、自分の特性を理解し、上手に付き合っていくことが可能です。
睡眠時無呼吸症候群では、CPAP療法などの治療により、比較的早期に症状の劇的な改善が得られることがあります。
焦らず、医師と相談しながら治療を進めることが大切です。
はい、疾患によっては薬を使わない治療法も選択肢となります。
適応反応症(適応障害)では、ストレスの原因となっている環境の調整が最も重要な治療となります。カウンセリングを通じて、ストレスへの対処法(コーピング)を学ぶことも有効です。軽度の場合は、環境調整だけで症状が改善することもあります。
ADHDでは、心理社会的治療として、環境調整(スケジュール管理の工夫、リマインダーの活用など)や認知行動療法が有効です。ただし、症状が中等度以上の場合は、薬物療法との組み合わせが推奨されることが多いです。
うつ病でも、軽度の場合は認知行動療法などの精神療法が選択肢となります。ただし、中等度以上の場合は、薬物療法と精神療法の組み合わせが最も効果的とされています。
睡眠時無呼吸症候群では、軽度の場合は減量や飲酒を控えるなどの生活習慣の改善が有効なことがありますが、中等度以上ではCPAP療法が必要となります。
治療法の選択は、症状の程度、患者さんの希望、生活状況などを総合的に考慮して決定します。
疾患について周囲に説明することは、簡単ではありません。しかし、適切な理解と支援を得ることで、症状の改善や生活の質の向上につながります。
まず、医師の診断を受け、自分の状態を正確に理解することが第一歩です。その上で、信頼できる人(家族、上司など)に、医師から説明を受けた内容を伝えることを検討してもよいでしょう。
ADHDの場合、「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすいため、「頑張ろうと思ってもできない」という困難があることを伝えることが重要です。具体的にどのような配慮があると助かるかを伝えることも有効です。
うつ病や適応反応症(適応障害)では、「気分の問題」と軽視されがちですが、治療が必要な状態であることを理解してもらうことが大切です。
職場への説明については、産業医や人事部門と相談しながら進めることをお勧めします。
治療を受けずにいた場合、症状が悪化したり、二次的な問題が生じたりする可能性があります。
うつ病を治療せずにいると、症状が重症化し、日常生活が困難になることがあります。早期の治療により、多くの場合で改善が期待できます。
ADHDを未治療のまま過ごすと、仕事での失敗や人間関係のトラブルが積み重なり、自己肯定感の低下や二次的なうつ病、不安症を発症するリスクが高まります。
睡眠時無呼吸症候群を治療せずにいると、日中の眠気による事故のリスクに加えて、高血圧、心疾患、脳卒中などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。
適応反応症(適応障害)も、ストレスが長期化すると、症状が慢性化し治りにくくなることがあります。
生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。適切な治療により、多くの場合で症状の改善が期待できます。

まとめ

「集中できない」「うっかりミスが多い」という悩みは、決して珍しいものではありません。その背景には、疲れやストレスから、ADHD、うつ病、双極症、適応反応症、そして睡眠時無呼吸症候群といった治療が必要な疾患まで、様々な原因が考えられます。
大切なのは、一人で抱え込まず、自己判断で「自分の努力が足りないからだ」と責めないことです。もし、症状が続いて生活に支障が出ているのであれば、それは専門家の助けが必要なサインかもしれません。
当院では、患者さん一人ひとりのお話を丁寧に伺い、必要な検査を行った上で、最適な治療方針を一緒に考えていきます。どんな些細なことでも構いません。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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