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集中できない・うっかりミスが多い

集中できない・
うっかりミスが多い

集中できない・うっかりミスが多い仕事や勉強で集中力が続かない、大切な約束を忘れてしまう、簡単なミスを繰り返してしまう...このような経験はありませんか?「自分の努力不足」「性格の問題」と思い込んでいる方も多いのですが、実はこれらの症状の背景には、治療可能な疾患が隠れていることがあります。
この記事では、「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状について、考えられる原因や関連する疾患について解説します。

他にこのような症状は
ありませんか?

「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状に加えて、以下のようなお悩みはありませんか?これらは、原因を特定するための重要な手がかりとなります。

気分のこと

  • 気分が落ち込んで、何もする気になれない
  • これまで楽しめていた趣味に興味がなくなった
  • 理由もなくイライラしたり、不安になったりする
  • 気分が異常に高揚し、おしゃべりになったり、じっとしていられなかったりする時期がある

行動のこと

  • 落ち着きがなく、そわそわしてしまう
  • 思ったことを、考えずにすぐ口に出してしまう
  • 約束や締め切りを忘れてしまうことが多い
  • 部屋や机の上が片付けられない
  • 危険な運転や、衝動的な買い物をしてしまう

身体のこと

  • 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまう
  • 日中に強い眠気がある
  • 食欲がない、または食べ過ぎてしまう
  • 常に身体がだるい、疲れがとれない
  • 動悸、息苦しさ、めまいを感じることがある
  • いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
  • 朝起きた時に頭痛や口の渇きがある

主な疾患(鑑別診断)

「集中できない」「うっかりミスが多い」という症状は、以下のような疾患の一つの症状として現れることがあります。

注意欠如・多動症(ADHD)

注意欠如・多動症(ADHD)症状の特徴: ADHDの特性は、主に「不注意」「多動性」「衝動性」の3つです。これらの特性は、気分の落ち込みなどとは関係なく、生まれつきの脳機能によるものです。

  • 不注意: 「ケアレスミスが多い」「物をよくなくす」「約束を忘れる」「順序立てて物事を進めるのが苦手」といった形で現れます。
  • 多動性・衝動性: 「じっとしていられず、そわそわと手足を動かす」「貧乏ゆすりがやめられない」「思ったことを考えずにすぐ口に出してしまう」「順番を待つのが苦手」といった形で現れます。 これらの症状が子供の頃から継続してみられるのが大きな特徴で、本人に悪気はなく、「頑張ろうと思っても、なぜかできない」という困難を抱えています。

この疾患の「集中力低下・不注意」の特徴

ADHDにおける不注意は、気分の落ち込みなどとは関係なく、生まれつきの脳機能の特性によるものです。「ケアレスミスが多い」「物をよくなくす」「約束を忘れる」「順序立てて物事を進めるのが苦手」といった症状が、子供の頃から継続してみられるのが大きな特徴です。本人に悪気はなく、「頑張ろうと思っても、なぜかできない」という困難を抱えています。

治療法

薬物療法と心理社会的治療を組み合わせて行います。薬物療法では、脳内の神経伝達物質のバランスを整える薬を用い、不注意や多動性・衝動性を改善します。心理社会的治療としては、ご自身の特性を理解し、生活しやすくなる工夫(環境調整)や、考え方の癖を修正する認知行動療法などを行います。

ADHD

うつ病

症状の特徴: うつ病は、気分の落ち込み(抑うつ気分)や、これまで楽しめていたことに対して興味や喜びを感じられなくなる(興味・喜びの喪失)状態が長く続く疾患です。これらの精神的な症状に加え、不眠や食欲不振、疲労感といった身体的な症状も伴います。 うつ病による集中力低下は、「以前は問題なく集中できていたのに、できなくなった」という変化として現れるのが特徴です。これは、脳のエネルギーが枯渇し、思考のスピードが遅くなる「思考制止」という状態に陥るためです。その結果、「考えがまとまらない」「本を読んでも内容が頭に入らない」「決断できない」といった形で集中力の低下を自覚し、うっかりミスが増えてしまいます。

治療法

十分な休養を確保することが基本です。その上で、SSRIやSNRIといった抗うつ薬を中心とした薬物療法と、ものの受け止め方や考え方の癖を修正していく認知行動療法などの精神療法を組み合わせて治療を進めます。

うつ病

双極症(双極性障害、躁うつ病)

症状の特徴: 双極症は、エネルギーに満ち溢れ活動的になる「躁状態」と、気分が落ち込み無気力になる「うつ状態」という、両極端な状態を繰り返す疾患です。

  • 躁状態の時: 気分が異常に高揚し、「自分は何でもできる」といった万能感に満たされます。あまり眠らなくても平気になったり、普段よりおしゃべりになったり、次から次へとアイデアが浮かびます。しかし、一つのことに注意を向け続けることができなくなる「注意散漫」が顕著になり、結局、多くの計画は中途半端に終わります。また、高額な買い物や危険な運転など、後先を考えない行動に走り、社会的な信用を失うようなトラブルにつながることも少なくありません。
  • うつ状態の時: うつ病と同様に、強い抑うつ気分、興味の喪失、思考力の低下がみられます。このため、「考えがまとまらない」「決断できない」といった状態になり、集中力の低下やミスが目立つようになります。

治療法

治療の主軸となるのは、気分の波をコントロールするための気分安定薬です。うつ病と間違えて抗うつ薬だけを使用すると、躁状態を引き起こす(躁転)リスクがあるため、正確な診断が重要になります。

躁うつ病・
双極性障害

適応反応症(適応障害)

症状の特徴: 適応反応症は、特定のストレス(例:職場の異動、人間関係の問題など)が原因となって、心や身体に不調が現れる状態です。ストレス反応として、不安、焦り、抑うつ気分、怒りといった情緒面の症状や、動悸、頭痛、倦怠感といった身体面の症状、さらに遅刻や欠勤、他者との口論といった行動面の症状など、多彩なサインが現れます。 このように心身のエネルギーが消耗することで、結果として集中力が続かなくなったり、仕事で普段はしないようなミスが増えたりします。ストレスの原因がはっきりしており、その原因から離れると症状が和らぐ傾向があるのが大きな特徴です。

治療法

まずは、ストレスの原因となっている環境の調整が最も重要です。カウンセリングなどを通じて、ストレスへの対処法(コーピング)を学ぶことも治療の選択肢となります。

適応障害

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群症状の特徴: 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれることで何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。特徴的な症状は、非常に大きないびきと、睡眠中に呼吸が止まっていることを家族などから指摘されることです。呼吸が止まるたびに脳が覚醒するため、深い睡眠がとれず、脳や身体が休まりません。その結果、十分な睡眠時間を確保しても、日中に耐えがたいほどの強い眠気や倦怠感に襲われます。この眠気が、会議中に居眠りをしてしまう、仕事の効率が著しく落ちるといった形で現れ、集中力低下やうっかりミスの直接的な原因となります。他にも、朝起きた時の頭痛や口の渇き、夜中に何度もトイレに起きるといった症状もみられます。

治療法

治療の基本は、睡眠中の気道を確保するCPAP(シーパップ)療法です。また、減量、飲酒を控えるなどの生活習慣の改善も重要です。適切な治療により、日中の眠気や集中力は劇的に改善することがあります。

まとめ

「集中できない」「うっかりミスが多い」という悩みは、決して珍しいものではありません。その背景には、疲れやストレスから、ADHD、うつ病、双極症、適応反応症、そして睡眠時無呼吸症候群といった治療が必要な疾患まで、様々な原因が考えられます。
大切なのは、一人で抱え込まず、自己判断で「自分の努力が足りないからだ」と責めないことです。もし、症状が続いて生活に支障が出ているのであれば、それは専門家の助けが必要なサインかもしれません。
当院では、患者さん一人ひとりのお話を丁寧に伺い、必要な検査を行った上で、最適な治療方針を一緒に考えていきます。どんな些細なことでも構いません。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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